研究内容を一言でいうと?
建築分野における資源の使い方がメインテーマです。リサイクルやカーボンニュートラルに関連した研究をしていて、建築物の脱炭素化を検討する際の評価の仕組みやツールなどをつくっています。
もともと建築分野にいたのですが、大学生の頃にちょうど気候変動についての議論が盛んに行われていて、資源の使い方や省資源に関心を持ち始めました。
当時、建築分野では、新たな資源を当然のように用いて、斬新でかっこいいものをつくることが主流でしたが、後先考えずにつくられ、そして簡単に壊されてしまうことに疑問を感じ、今の研究をしています。
研究者として一番幸せだと思う瞬間は?
論文が論文誌に掲載されたときはもちろん嬉しいですが、他大の先生、企業の方や政府の方などと連携しながら評価ツールをつくったり、制度の設計をしたりするなかで、人と一緒に考えながら、課題解決の糸口を見つけられた時が一番やっていてよかったなと思う瞬間です。
プライベートで実践しているサステナブルなことは?
子どもと一緒に過ごすことですね。
物質的なことよりも、将来の世代がどのようなことを考えているのか、どういう風に思っているかを捉えることがサステナブルだと思っています。
一番影響を受けた本は?
経済学者・細田衛士先生の著書『グッズとバッズの経済学』。
廃棄物問題とリサイクルについて、経済学の視点から書かれた本です。
本の端書きに「ゴミや廃棄物のリサイクルは状況が急に変わる。これだけ変化の激しいものを捉える学問はなく、そういうものに巡り合え挑戦できたことが嬉しい、やりがいを感じている」という趣旨のことが書かれています。
リサイクルについて、本やニュース、インターネットの情報だけでは、最新の情報を把握することができず、現場に行ってみてやっとわかるということを私も体験しています。 でも、5年後には全く状況が変わっていることもあるので、細田先生の「だからこそやりがいを感じる」という点において、なるほどと思わされました。
サステナビリティ学科を志す学生におすすめしたい映画は?
スタジオジブリのアニメ映画『平成狸合戦ぽんぽこ』です。
山や森を切り開いて都市開発が行われる物語ですが、私が東京都環境局、東京都環境公社、NPO団体と一緒に開催している学外学修で訪ねている場所が、まさにこの映画の舞台なんです。
戦後、住宅が少なかったために、よい住環境を作ろうとしてたくさんの土地が開発されました。大量につくられた住宅は、現在、使われなくなったものも多くあり、空き家問題として顕在化し、今後どう活用していこうという議論も行われています。