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ウェルビーイング
ウェルビーイングとは
ウェルビーイングという言葉は「幸福」や「豊かさ」に置き換えることもできる。行政による政策、企業活動、まちづくり、私たちの人生の目標とも関連する概念である。ウェルビーイングの議論は今もなお活発であるが、時をさかのぼると、世界保健機構(1946)が、ウェルビーイングとは「病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にある」ことと記している。
今日では、福祉の分野においても、ウェルビーイングが重要な考え方になっている。すなわち、基本的人権が損なわれることがないように社会的弱者を救う福祉(ウェルフェア)から、あらゆる人々の自律的な活動や社会への関与、自己実現を通じた福祉(ウェルビーイング)へと範囲や目標が変化している。社会的包摂においても、あらゆる人々がウェルフェアのみならず、ウェルビーイングの観点においても取りこぼされないようにすることが求められる。
ウェルビーイングの側面と規定要因
一人ひとりの個人のウェルビーイングと社会のウェルビーイングを区別して考えなければならない。個人のウェルビーイングは価値観や状況、発達段階によって異なるものであり、第三者がこうあらなければならないと押しつけるものではない。幸福のカタチは様々だからだ。
これに対して、社会のウェルビーイングは、個人が求めるウェルビーイングを実現できる条件を備えることであり、個人のウェルビーイングの追求が他の人のウェルビーイングを阻害したり、剥奪することがないように整備されていることを示す。
個人のウェルビーイングが多様だとはいえ、社会のウェルビーイングを考えるうえで、個人のウェルビーイングに共通する一般的な事項を整理しておくことは必要である。表にウェルビーイングの異なる側面やウェルビーイングを規定する主な要因をまとめた。
表 ウェルビーイングの一般的事項

参考文献
世界保健機構(1946)『世界保健機関憲章』渡邊淳司・ドミニクチェン(2020)『私たちのウェルビーイングをつくりあうために―その思想、実践、技術』ビー・エヌ・エヌ新社マーティン・セリングマン(2014)「ポジティブ心理学の挑戦“幸福”から“持続的幸福”へ」ディスカヴァー・トゥエンティワン