ライフサイクルアセスメント

LCA(ライフサイクルアセスメント)は、製品、サービスのライフサイクル、つまり資源採取から原料製造、部品製造、組立、使用、廃棄にいたる(ゆりかごから墓場まで)全てのプロセスを捉え、環境影響などを分析評価する手法である。
LCAは、米コカ・コーラ社が洗浄し再び瓶として利用するリターナル瓶と飲料缶の環境影響評価においてLCAの基礎が築かれたといわれている。現在、LCAは環境影響評価手法として、リターナル瓶と飲料缶にとどまらず様々な分野で活用が進んでいる。

ISO14040

LCAは国際規格であるISOに定義されており、LCAに関連する規格としてはISO14040番台の規格があり、LCAの考え方と枠組み、LCA実施の際の要求事項が定められている。LCAの実施においては、図1に示すように(1)目的および調査範囲の設定、(2)インベントリ分析(対象製品のデータを収集しCO2排出量など環境負荷項目を算定すること)、(3)影響評価、(4)結果の解釈を含むこととしている。原則としてこの手順に従ってLCAを行うことが定められており、評価の目的に応じて適切な調査の範囲などを設定することが重要となる。「(1)目的および調査範囲の設定」の具体例として、リサイクルによる環境影響を比較する場合の評価範囲の設定例を図2に示す。リサイクルされる製品は、使用後にリサイクルされ、製造、リサイクル製品がつくられることになる。そのため、リサイクル製品を評価する場合、リサイクル以降の製造プロセスを評価範囲として含めることとなる。つまり、使用段階における環境影響は不問となる。

また、リサイクル効果を比較するためには、同様の製品(リサイクル製品の製造で製造しなくてよくなる製品)の原料調達から製造にいたる評価範囲を設定し、リサイクル製品の環境影響および新規原料から新製品を比較することでリサイクルによる環境影響を捉えることができる。リサイクルには環境影響を削減できるものと増えるものがあり、LCAによりリサイクルの環境影響を定量的に捉えることが重要である。

■LCAに用いられる原単位データ(産業連関法と積上法)

LCAに用いられる原単位データは、総務省が公表している統計データである産業連関表を用いる場合と原料調達、製造、廃棄の各プロセスのデータを用いる場合がある。前者のデータを用いる方法を産連法、後者のデータを用いる方法を積上法という。日本国内のLCAに関するデータベースは、産業連関表でつくられた代表的なデータベースとして国立環境研究所が公表している3EIDと、積上法でつくられた代表的なデータベースとして産業技術総合研究所が開発し、一般社団法人サステナブル経営推進機構が販売しているIDEA(Inventory　Database　for　Environmental　Analysis)などがある。
産連法のデータは、ある製品の製造及び廃棄に至る環境影響だけではなく、製造に関わる事務所の建設、製造設備の製造に関わる環境負荷など、評価対象となる製品の製造・廃棄に関わる全ての波及効果を反映できること、代表性が高いことが特徴とされている。
積上法によるデータは、ある製品の製造及び廃棄に至る資源やエネルギーの投入量を捉え、環境影響を反映したデータとなり、ある製品の各プロセスにおける評価・分析が可能となることが特徴である。そのため、個別性の高いデータを作成できることから、各企業における製品に関わるLCAで広く活用されている。

■LCAの活用事例

現在は、LCAによりさまざまな製品やサービスの環境負荷を公表する制度である「エコリーフ」や、CO2排出量に特化した「カーボンフットプリント」などに活用されている。
カーボンニュートラル実現に向け、LCAは各産業、企業におけるCO2排出量を把握する手法として期待されており、各業界で評価の枠組みが整理されている。

図3 カーボンフットプリント

参考文献

一般社団法人サステナブル経営推進機構,CFPマークについて