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環境エンジニアリング

3R(リデュース、リユース、リサイクル)

作成: 髙橋 和枝

3Rの浸透

3R とはリデュース(廃棄物の発生抑制 Reduce)、リユース(再使用 Reuse)、リサイクル(再資源化 Recycle)の3つの頭文字をとったもので、近年ではさらにリニューアル(再生 Renewal)、リフューズ( 断る Refuse)、リペア(修理 Repair)などを加えた 4R や 5R ということもあるが、いずれも無駄を省き、資源を有効利用し、最終処分量を減らすための行動を意味するものである。
わが国で3R の政策への導入は、「資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)」(1991 年に制定された「再生資源の利用の促進に関する法律(再生資源利用促進法)」を一部改正)に始まる。その社会的背景としては、最終処分場(3R が困難なものを処分するための施設)のひっ迫の他、将来の資源枯渇を回避し、循環型社会へ転換を促すためには従来のリサイクル対策だけではなく、リデュース対策、リユース対策も必要であるという見解に基づくものである。環境の観点からはリデュース、リユースがリサイクルよりも優先するが、全ての製品で可能なものではないことに留意すべきである。2004 年の主要国首脳会議(G8 サミット)では、3R を通じて循環型社会をめざす「3R 行動計画」を日本が提案して採択され、国際社会における3R の普及に貢献した。

リサイクル

国内では、物品の特性に応じたリサイクル法が 1997 年頃から次々と整備された。(図)各法が制定された背景と現状、課題等を次に示す。


図 環境・リサイクル関連の法規制

① 容器包装
一般廃棄物の多くを占めていた「容器包装」廃棄物を対象とした「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)」が施行された。この法律により、消費者が「分別」して排出した廃棄容器包装を市町村が「分別収集」し、企業で「再製品化」をするリサイクルシステムが整った。中でもペットボトルのリサイクル率(リサイクル量をボトル販売量で割ったもの)は高く、2021 年には 86%となっており、世界最高水準を維持している。一方、回収されたペットボトルの約 4 分の 1 は海外で再資源化されており、その多くは中国や東南アジアに輸出されてきたが、2018 年に中国が環境対策としてプラスチックごみの受け入れを禁止する方針を決め、他のアジアの国々も追従したため、現在、国内には多くのプラスチック廃棄物が滞るだけではなく、処理費用が急増するという課題が生じている。

② 家電製品
一般家庭から排出される使用済みの廃家電製品には鉄以外にもアルミ、ガラスなどの有用な資源が多く含まれており、資源回収が必須である。そこで「特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)」が 2003 年に施行された。この法律は、一般家庭や企業などから排出された家電製品のうち、エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機を対象としている。家電メーカーには「再商品化」を行うことが義務づけられた結果、メーカーとリサイクル業者の連携が進められることになった。このように生産者が、その生産した製品が使用され、廃棄された後においても、当該製品の適正なリサイクルや処分について一定の責任を負うという考え方を拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility :EPR) と言う。 EPR とはすなわちモノづくりをライフサイクルで考えるという意味であり、どのような製品でも重要な考え方である。

③ 食品
食品ロスは本来食べられるにもかかわらず廃棄されている食品のことであり、2020 年度には年間 522 万トンと推計されている。食品循環資源の再利用等を推進するため、「食品循環資源の再利用等の促進に関する法律
(食品リサイクル法)」が 2001 年に試行され、2007 年に改正された。食品製造業から排出される食品廃棄物は分別が比較的容易であるため飼料などへの利用がすすめられているが、食品小売業や外食産業から排出される廃棄物は、回収量や衛生上の問題などがあり、焼却・埋立等により処分されることがまだ多いといった課題がある。

④ 建設廃棄物
建設工事に伴って廃棄されるコンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、建設発生木材の建設廃棄物は大量であるだけではなく、不法投棄物の 7 割を占めていたという報告もある。そこで、資源の有効な利用を確保し、廃棄物の再資源化を推進するために建設工事に関わる資材の再資源化等に関する法律 (建設リサイクル法)が 2000 年に施行された。しかしながら、現在も建設廃材の不法投棄が引き起こす社会問題の他、重機を用いた解体による混合物の存在等により再資源化率が妨げられるという課題が指摘されている。

⑤ 自動車
自動車には鉄をはじめ多くの資源が含有されているが、総重量の約 80%がリサイクルされ、残りの約 20%はシュレッダーダストとしてこれまで主に埋立されてきた。そこで、自動車の新しいリサイクルの仕組みとして「使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)」が 2005 年に完全施行された。自動車リサイクル法では、車の所有者がリサイクル料金を支払うことの他、シュレッダーダストの利用やリサイクル率の目標値などが決められており、リサイクルだけではなく部品のリユース等も進められている。

⑥ 小型家電
国際的な資源価格の高騰を背景として、使用済み小型電子機器等の適正な処理および資源の有効な利用を図るため、「使用済小型電子機器の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)」が制定された。その対象はパソコンや携帯電話・通信機器、キッチン家電など多種多様である。小型家電リサイクル法と家電リサイクル法の違いは、回収は主に市町村が行い、リサイクルの実施主体が認定事業者である点である。

関連するキーワード

リデュース、リユース、リサイクル、資源循環

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