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バイオマス

バイオマスと光合成

バイオ(bio)は生物・マス(mass)は質量の意味を持ち、バイオマスは生物体を資源とみなした表現である。例えば木の一部だった薪(まき)は燃料であり、バイオマスの1つである。もともとはエネルギー源となる生物体を指す単語であったが、意味が拡張され、食糧や生物体由来の素材(皮・木綿・材木等)なども含めるようになった。バイオマスはその由来から、廃棄物系・未利用系・資源作物系に分けられ、アイテムは多岐にわたる。
光合成は、光と二酸化炭素と水を吸収し、デンプンをはじめとする炭水化物と酸素を作る化学反応とも捉えられるが、太陽の光エネルギーを炭水化物の持つ化学エネルギーに変えるエネルギー変換システムと捉えることもできる(図)。地球上のバイオマスはすべて光合成産物に由来する。太陽光の持続性によりバイオマスの持続的生産が担保される。草食動物はもちろん、肉食動物の体もその餌となる生物体は元をたどれば光合成産物である。人工光合成の技術を今のところ人類は持っていないので、植物など光合成生物が生育できない地球環境にすれば、食糧も酸素も得られず大気中の二酸化炭素濃度が上がり、我々は生存できない。
図の左辺の二酸化炭素は光合成生物に取り込まれ、光合成により炭水化物になる。炭水化物とは、炭素原子に水分子に相当するヒドロキシ基(—OH)と水素原子が結合した化合物。典型的炭水化物であるブドウ糖は(C6H12O6)の構造を持ち、デンプンはブドウ糖の分子が多数、脱水による縮合重合した高分子化合物である。また、太陽光の持つ光エネルギーは、炭水化物の持つ化学エネルギーに変換される(点線で表示)。

図 光合成を示す化学式とエネルギー変換

バイオマスのカーボンニュートラル(炭素中立、炭素循環)

バイオマス燃料を燃焼させたり、バイオマス素材廃棄の際に中間処理で焼却させたり自然分解させたりして生じる二酸化炭素は、直前に行われたバイオマス形成時の光合成で大気中から吸収したもので、温室効果ガスである大気中の二酸化炭素を増加させることにはならない。バイオマスは、カーボンニュートラルな物質で、脱炭素社会構築に貢献できる。
なお、最近はカーボンニュートラルの単語を社会目標として別の意味でも使われるようになった。その場合は、温室効果ガスの排出量と吸収量が社会全体で等しくなることを指している。ネットゼロ、カーボンゼロともいう。

バイオマスの利用促進

日本では、バイオマス活用推進基本法に基づくバイオマス活用推進基本計画によりバイオマスは再生可能な資源として、循環型社会構築に向け

  1. バイオマスの生産力の向上と持続性の両立をさせつつ利用を推進すること
  2. 新技術を開発することを目指すこと

が示されている。

参考文献


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