2023年度に武蔵野大学環境システム学科はサステナビリティ学科へ発展的に改組しました。このサイトでは、環境システム学科における過去の活動記録を紹介します。
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「環境配慮行動がもたらす人々のしあわせに関する研究」報告(武蔵野大学しあわせ研究所通信)

環境配慮行動がもたらす人々のしあわせに関する研究

高橋和枝(環境システム学科教授)、 磯部孝行(環境システム学科講師)

天然資源に乏しい日本にとって、高濃度でレアメタルや貴金属を含むパソコン、携帯電話等の廃棄小型家電は、「都市鉱山」とも呼ばれ、貴重な資源と見なすことができます。またSDGsの目標の中に「つくる責任つかう責任」がありますが、ここにもリサイクルの重要性が含まれていると考えられます。一方で、リサイクルの推進には、市民の協力が必要ですが、都市鉱山に関する認知度が低いことが課題です。そこで、再生金属からオリンピックメダルを作る「みんなのメダルプロジェクト」が2017年から開始されました。このプロジェクトに協力するため、本学ではしあわせ研究所と環境システム学科の共催で、「武蔵野大学鉱山プロジェクト」を実施しました。具体的には、武蔵野と有明の両キャンパス内に回収ボックスを設け、ポスター、チラシ等で呼び掛けを行いました。さらに、ピックアップ回収やじゅんぐり祭でのイベント回収も実施しました。最終的には千代田高等学院も参加し、計3.4トンを回収することができました。その中には約59gの金の他、496gの銀、137kgの銅が含まれていました(数値はいずれも概算値)。目標としていた金メダル10個分の金(60g以上)には、僅かに足りませんでしたが、東京オリンピック・パラリンピックを支援することができ、環境問題に全学で取り組むことができたことは大きな成果であったと考えています。

一方、2018年8月に一般消費者向けのインターネットアンケートを実施した結果、「みんなのメダルプロジェクトを知っている」とした回答者は36%であり、認知度は前回のアンケート(2018年1月実施)と比較して、約半年で8ポイント向上したことがわかりました。この原因としてマスコミ等による情報提供の効果が挙げられます。さらに、リサイクルに協力できない理由として「回収場所がわからない」を38%の回答者が選択しており、コンビニエンスストア・スーパーなど、日頃から立ち寄りやすい場所が回収場所として適しているという回答も多数、得られました。この結果からも学校や勤務地を回収場所とした今回の学内プロジェクトは有効であり、それが実証できたと考えています。

今後、今回の結果を活用し、持続可能なリサイクルに必要な環境教育や情報提供方法、さらに地域で取組むリサイクルシステムについても研究を続ける予定です。

(初出:武蔵野大学しあわせ研究所通信)

関連リンク

「武蔵野大学鉱山プロジェクト」HP http://urbanmine.mu-projects.com/

武蔵野大学しあわせ研究所
https://www.musashino-u.ac.jp/research/laboratory/happiness_incubation.html